阪神・淡路大震災から30年

2025.01.01

 酒トークをご覧の皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。昨年のお正月は能登地方を中心とする、令和6年能登半島地震に見舞われましたね。関西にいる我々も地震の揺れに驚きました。あれから1年が経過し、被災地の復興が進むことを祈るばかりです。そして、1月17日には、平成7年(1995)に発生した阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えます。今回の酒トークでは、当時の状況をご紹介いたします。

阪神・淡路大震災によって倒壊したレンガ造りの旧酒蔵館

 30年前の1月17日午前5時46分に、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、酒ミュージアムがある西宮市も震度7の大きな揺れに見舞われました。辰馬本家酒造では当時稼働していた木造蔵が倒壊する等大きな被害を受けましたが、発災前年から稼働していたコンクリート造の六光蔵により生産を維持することができました。しかし、酒ミュージアムでは、明治以来のレンガ造りの酒蔵を活用して酒造工程を展示していた酒蔵館が倒壊してしまいました。

酒蔵館内に展示していた酒造道具の多くが被害を受けました。

 発災後の酒ミュージアムでは休館を余儀なくされ、そこから復旧作業が始まりました。発災から3日目の19日に電気が復旧すると、翌20日からは倒壊したレンガなどの片付け作業が始まり、23日には重機を使った酒造道具の救出を開始しました。発災から37日目の2月22日にようやく酒ミュージアムの上水道が復旧し、43日目の2月28日には倒壊した酒蔵館で展示していた酒造道具の回収作業が終了しました。3月13日には酒ミュージアムでガスが復旧して空調の使用が可能となり、発災から61日目の3月18日より記念館にて、笹部新太郎氏の桜コレクションを紹介する春季特別展の開催にこぎつけました。しかし、倒壊したレンガづくりの酒蔵館の復旧は不可能で、かろうじて倒壊を免れた辰馬本家酒造旧本蔵を活かした新しい酒蔵館が開館する平成10年(1998)までの間、酒造道具の展示は記念館ロビーの限定的なものとなりました。

レンガ造りの旧酒蔵館倒壊後、一時的に行われていた記念館ロビーでの酒造道具展示

 現在の酒蔵館では、倒壊した酒蔵館に展示していて大きく破損した酒造道具を「震災の記憶」と題して常設で展示しています。発災からもうすぐ30年を迎えるため、現在では当時のことを話す機会も少なくなりました。30年を機に一度酒蔵館の展示をご覧頂ければ幸いです。今後も南海トラフ巨大地震の発生が予測されておりますので、酒トークをご覧のみなさまには、避難場所や非常時の備えなども今一度ご確認頂ければと思います。それでは、来月もよろしくお願いします。

酒くん

酒造りの奥深さを、存分にお伝えするで。

桜子ちゃん

お酒にも、桜と同じように人に愛されてきた歴史があるのね。