こんにちは、今年は例年にない早い梅雨入りですね。開き直って傘をさしてお散歩も良いのではないでしょうか。今回は、お散歩コースにうってつけの、お酒の日本遺産についてのご紹介です。
日本遺産とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」に認定する制度で、2015年以来100件を超えるストーリーが認定を受けています。
令和2年度には、酒ミュージアムがある西宮市のほか、伊丹市・芦屋市・尼崎市・神戸市の日本酒に関する歴史や文化が、『「伊丹諸白」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷』として日本遺産の認定を受けました。今回は、この日本遺産に認定されたストーリーの一部をご紹介したいと思います。
日本遺産には、前回の記事でご紹介した灘五郷が位置する西宮市と神戸市以外にも、伊丹市・芦屋市・尼崎市が一緒に認定されています。
伊丹市は清酒発祥の地とされる場所で、西宮にも伊丹から清酒造りが伝わったと考えられています。江戸時代の伊丹の酒造家は、江戸で清酒を流通させる下り酒問屋や、清酒を運ぶ樽廻船を差配する廻船問屋業にも進出していて、江戸時代の清酒文化を語るのには欠かせない地域となっています。
芦屋市には、酒造りの原材料の1つである米の精米に使用していた水車がありました。足踏み精米といって人力で行う地域が多い中、芦屋川などにあった水車で自然の力を利用して、効率的に精米をしていたことが、西宮や灘の酒の品質を高めたと考えられています。また、魚崎の酒造家山邑太左衛門が、大正7年(1918)にアメリカが生んだ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトに設計を依頼して建てた洋館(現在のヨドコウ迎賓館)も芦屋市にあります。
尼崎市は菰づくりが盛んでした。江戸時代から明治時代までは、酒の容器は木製の樽が主流で、樽を船で江戸に運ぶ際には、稲わらなどで作られた菰を巻いて酒樽を保護していました。この菰づくりは尼崎市で現在も引き続き産業として受け継がれています。
西宮では酒ミュージアムにある、辰馬本家酒造旧本蔵と内部の釜場遺構・酒造道具を含め、13件が構成文化財となっています。
ここで掲載している晴れた日の酒蔵館と打って変わって、雨に濡れた酒蔵館も風情があります。雨を楽しむ、そんな季節にしてはいかがでしょうか。 皆様のご来館を心よりお待ちしております。
立派な船はみんなで造ってたんやな。