こんにちは、梅雨も終盤になり気温が上がってきて夏を感じますね。
今回は日本遺産の構成文化財となっている、酒造りの道具たちについてのご紹介です。酒ミュージアムの酒蔵館では、酒造りの全工程をご紹介するために、大小200種類を超える道具を展示しています。展示している道具は、辰馬本家酒造が昭和30年代ぐらいまで実際に使用していた酒造り道具で、同社に出入りしていた桶師たちが製作したものと考えられます。
それでは、何点か酒造り道具をご紹介しましょう。最初にご紹介するのは、何と言っても酒蔵館の中で最も大きな大桶です。大桶とは、その名の通り大きな桶のことで、仕込みや貯蔵の際に使用されていました。どのぐらいの大きさかと言うと、高さ2メートル、最大直径2メートル30センチにもなります。容量は30石入ります。1石が現在の180リットルになるので、5,400リットル(1升びん3,000本)も入ることになります。灘五郷は日本一の酒造地帯だけあって、需要に応えるために大きな道具が必要だったという歴史もうかがえます。かつては大桶が蔵ごとに数十本ずつ使用されていたので、酒蔵の中は壮観だったことでしょう。酒蔵館には現在9本の大桶が展示され、大桶の中に入ることもできるので、大きさを体感してみてください。
次にご紹介するのは、甑(こしき)と呼ばれるお米を蒸すために使用されていた道具です。甑の使い方は、まず入荷した米を洗い、水を吸わせた後にこの甑に入れます。甑は前回の記事でご紹介した、釜場に据え付けた大釜の上に設置します。釜場で火を起こし、大釜の湯が蒸気を上げると、甑の底に開けてある小さな穴から蒸気が入り込み、甑の中の米が蒸されるという仕組みです。この甑には、外周部を菰で巻き、更に縄を巻いて、蒸し米を保温する機能も備わっています。
最後にご紹介するのはきつね桶です。もろみを酒袋に入れやすくするため、先を尖らせた形状がきつねの顔に似ていたことからきつね桶と呼ばれています。酒蔵ではきつね桶のように、ユニークな名前が付けられた道具が他にも、ねこ・すずめ・つばめ・かえる・うどん屋・くつ・よだれかけ等たくさんあります。そういった道具を探して酒蔵館を探検するのも、当館の楽しみ方のひとつです。
昔の酒造りの雰囲気を満喫できる酒蔵館に、ぜひお越しください。
技術の進歩を味わおうや!