桜を種から育ててみよう

2021.08.15

 皆さん、こんにちは。7月21日(水)から始まった笹部さくら資料室「今日から君も桜博士」はすでにご覧いただけましたでしょうか? この展示では笹部さんの桜研究について、小中学生の方にも分かりやすくご紹介しています。 今回は展示の中から、笹部さんが採用していた桜の種子の採取方法を実際に試してみた箇所をご紹介します。

桜種子御採取要項

 笹部さくらコレクションの中には「桜種子御採取要項」という名前の資料が収められています。これは笹部新太郎さんが全国各地から桜の種子を送ってもらうために配っていたもので、どれぐらいの時期に採るのがいいのか、どのような処理をして送ってほしいのか、といった内容が記されています。

木になっている桜の実
採取した桜の実

 それによると、桜の実が濃い紫色で、実を押しつぶすと紫がかった濃い赤色の汁が出るような状態が採取に適したタイミングであるそうです。程よく熟した実を採取したら水洗いして、表皮と果肉を取り除いて種子だけの状態にするのが良いとのこと。そして、水に濡れたまま土をまぶして送ってほしいと笹部さんは指示しています。

 これに従って日々木を観察し、私も5月末頃に採取してみました。種子に直射日光を当てるのが良くないとも採取要項に書いてありましたので、部屋のカーテンを閉めた状態で実を潰してみた様子がこちらです。

実を潰した直後の様子

 市販のさくらんぼのようなイメージでつぶしたのですが、しっかりとした果肉があるというよりは、皮の下に汁が詰まっているといった印象で、実を潰したと思った次の瞬間には汁がはじけ飛んでいました。その後、何とか水洗いし、発芽させるためのポットの中にとりあえず植えました。

 ちなみに、ここまで作業をしてから、桜を種子から育てる方法を今一度きちんと調べていると、今の時期に桜を植えるのはあまり良くないことが分かりました。本当はいったん貯蔵する必要があるそうです。確かに笹部さんの自筆記録の中でも貯蔵を行っていることが分かりますので、笹部さんがどのような方法で貯蔵を行い、いつ頃植えていたのかということを明らかにするのが今後の課題です。

 今回は「桜種子御採取要項」という資料から笹部さんの桜研究のごく一部をご紹介しました。他にはどのようなことをしていたのか気になってきませんか?

 会場では、桜を増やすもう一つの方法である「接木」や、笹部さんが見聞を広げるために訪れた全国の桜を地図にしています。文字を読むだけでなく、視覚で楽しめることも目指しましたので、ぜひ会場でご覧ください。

次回もお楽しみに!!

酒くん

笹部さんの桜への愛は、ぼくの酒への愛と通じるものがあるな。

桜子ちゃん

桜を取り巻くあらゆることに、興味をもってくださると嬉しいわ。