時代の移ろいとともに変化する慣習・流行・技術・環境等の影響を受け、国内では様々な美術品が制作されてきました。本展覧会の前期は「日本画」という言葉が定着する以前、近世(江戸時代)の狩野探幽や土佐光起等の作品を、後期は洋画に対する「日本画」として制作された近代(明治時代~戦前期)の川端玉章や橋本関雪等の作品をご紹介します。酒ミュージアムが所蔵する近世・近代の作品から、時代の移り変わりを感じていただければと思います。
過去の展覧会
Past Exhibitions
江戸時代には「源氏物語」を要約したあらすじ本だけでなく、翻案したパロディ本、場面や人物を当世風に描いた錦絵など、物語に影響を受けたアレンジ作品が数多く出版されました。物語の一場面を意匠化した源氏模様は調度品等に取り入れられ、雅な文様として好まれました。
この展示では、江戸時代後期にベストセラーとなった『偐紫田舎源氏』や明治の錦絵シリーズ「現時五十四情」などの作品から、江戸・明治の『源氏物語』の展開をご紹介します。
※会期終了
日本古来の山桜・里桜の保全活動に生涯を捧げた笹部新太郎(明治20-昭和53)氏は、桜に関する資料や美術工芸品の蒐集にも勤しみました。
この笹部さくらコレクション(西宮市より寄託)から、今回の展示では絵画、陶磁器、金工・木工・漆工、版画、着物といった美術工芸品を、笹部氏が遺した買入時の記録と併せて展観します。幅広い分野の作品に表された、多彩な桜の姿をお楽しみください。
節句は一年の節目となる日で、季節の変わり目に邪を払う行事などが行われてきました。中でも1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽は、五節句として江戸時代には幕府の式日となった他、民間にも広がり、特に上巳は女子の節句、端午は男子の節句として、子どもの健やかな成長や幸せを願う行事となって今につながっています。
春をさきがける恒例の人形展、この展示では、西宮の酒造家である辰馬家で祝い飾られてきた節句人形を展示いたします。また、特別展示として「京の四季おりおり」と題し、丸平大木人形店の資料室・丸平文庫所蔵の作品から、京の歳時をうつした人形も展示いたします。
人形を通して観る四季おりおり、大木平藏の創り出す豊かで雅な人形の世界を、ぜひご覧ください。
烏帽子をかぶり、釣り竿と鯛を抱えた姿で表されるえびす神は、福をもたらす神さまとして知られています。関西では特に1月の十日えびすの祭典に福を授かり商売繁盛を願って多くの人々が参拝します。
この展示では、図像や神像、生活用具などから、「えびすさま・えべっさん」と親しみをこめて呼ばれるえびす神が広く信仰され、身近な縁起物として暮らしの中にとけこむ姿をご紹介します。
※堀内ゑびすコレクションについて
医学博士の傍ら郷土史家としても活躍された故堀内泠氏(1924~2009)が長年かけて収集されたものです。西宮で生まれ育った堀内氏のコレクションは主にえびす神を代表とする福の神に関するもの、郷土史、風俗風習等の資料で構成されています。
趣味のお道具には様々な趣向が凝らされ、見る者を惹きつけます。漆工品には蒔絵、金工品には彫金、陶磁器には色絵や染付といった、日本の伝統工芸の技術が今回展示する茶道具・香道具・煎茶道具・文房具・刀剣及び刀装具にも活かされています。趣味の世界で輝くお道具の魅力をご堪能ください。
四方を海に囲まれ多雨で水に恵まれる日本では、水は身近な存在であり、多様な画題となって絵に描かれてきました。はるか高い山から流れ落ちる瀧、荒く白い波しぶきを立てる波濤、穏やかにゆらめく水面、雨の様子。絵の中には、常に動き変化していく水の一瞬が情景としてあらわされています。
この展示では、さまざまに描かれた水の姿を、近世から近代の日本画や工芸品からご紹介します。
江戸時代中後期の約60年間という短い期間に、「三熊派(みくまは)」という画派が京都を中心に活動しました。三熊思孝(みくましこう)・三熊露香(みくまろこう)・広瀬花隠(ひろせかいん)・織田瑟々(おだしつしつ)という4人からなる三熊派は、桜のみを描くことを流儀とし、絵の道に邁進していきました。
三熊派の始祖である思孝は、春になると桜を観察するために全国各地へ出かけ、その成果を活かして桜を描いたと言われています。そうした思孝の姿勢は他の3人にも引き継がれ、細部まで丹念に描き込まれた桜画を遺しています。このように、持てる力の限りを尽くして桜を描いた三熊派の根本には、日本で古くから愛されてきた桜の美しさを、絵画という形で表現したいという思いがありました。
本展示では、三熊派の4人が見出し絵に込めた桜の美しさについて、笹部さくらコレクションに収められた三熊派の掛軸からご紹介します。
節句は一年の節目となる日で、季節の変わり目に邪を払う行事が行われてきました。人日、上巳、端午、七夕、重陽は、五節句として江戸時代には幕府の式日となった他、民間にも広がりました。特に子どもの健やかな成長を願う雛人形や武者人形を飾ることは、現在でも歳時の一つとして続いています。
この展示では、京都の人形司・大木平藏制作の、高さ7㎝前後の人形が15人揃った「二寸雛人形」や、細部にわたり金具や刺繍が施された「飾り具足」など、西宮の酒造家・辰馬家で祝い飾られてきた昭和初期の人形を中心展示いたします。
また、「京の五節句」と題し、丸平大木人形店の資料室・丸平文庫の所蔵作品から五節句にまつわる人形もご紹介いたします。
春をさきがける人形展、小さな中にも贅を尽くした姿をぜひ間近でご覧ください。
四季を感じる美術品、歴史を感じる史料、どれも興味深いな。
お酒や桜以外にも、色々な展覧会が開かれているのね!!