皆さん、こんにちは。これまでこのコラムを読んでくださっている方はよくご存知かと思いますが、笹部新太郎さんはその90余年の生涯を日本古来の山桜・里桜の保護・育成のために捧げました。7月21日(水)から開催される、夏・秋 笹部さくら資料室「今日から君も桜博士」は、笹部さんの研究活動を分かりやすくご紹介することによって、笹部さんについての理解を深めていただくとともに、熱中できるものを持つことの楽しさを実感してほしいとの思いから企画した展示です。
今回の展示は夏休み期間と重なることから、小中学生の方にぜひとも見ていただきたいと思い、企画しています。お子さん、お孫さん、もしくは親戚の子どもさんと、ぜひご一緒にお楽しみいただければ幸いです。
それでは、展示の構成を簡単にご紹介させていただこうと思います。まず、笹部新太郎さんを詳しく知らない方も多いと思いますので、身近にある笹部さんのかかわった桜の木や名所をご紹介しています。たとえば、酒ミュージアムのある西宮市の満池谷(まんちだに)という地域には「越水(こしみず)浄水場」という桜の名所があり、ここは笹部さんが植樹を行った場所です。植樹が実施されたのは昭和29年(1954)ですが、今でも桜の名所として知られています。
続いて、笹部さんの研究活動をご紹介しています。大学生の頃に桜に興味をもった笹部さんは、全国各地に桜の観察に出かけて観察記録を残しており、各地の名桜に対する笹部さんの考えがうかがえる点で非常に興味深い史料です。その他にも、笹部さんが最善だと考えていた方法で私自身が実際に桜の種を採取してみた様子を、写真でもご紹介しています。文字だけだと分かりにくい……という方もご安心ください!!
また、笹部さんはソメイヨシノばかりが広まっていく世の中を憂い、桜の多様性を守るためにこのような研究をしていたと考えられます。この点について、笹部さんの集めた桜の美術品の中から、現在広く知られているソメイヨシノだけではない桜の多様な品種をご紹介します。
今回の展示は、大人の方にとっても、かつて何かに熱中していた気持ちを思い出す、もしくはこれから熱中するものを見つけるきっかけになるのではないかと考えています。笹部さんにとっての桜のような、生涯をかけて打ち込めるものに皆さんも出会えますように。
それでは、次回もお楽しみに!!
左近の桜っていつ頃からあるのかしら?